プルーンライブラリー

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プルーンと便秘

とくに女性に多く、生活の質を下げてしまうこともある便秘。排便が困難なだけでなく、私たちの健康にさまざまな悪影響を及ぼしてしまいます。

そんな便秘の基本から、便秘を改善するプルーンの働きまでをご紹介します。健康的な毎日のためにお役立てください。

便秘の基本

便秘の基準って?

便秘とは、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。ただ、これはなかなか自分で判断できるものではありません。便秘の症状はさまざまですが、次のチェックリストに2つ以上当てはまる場合は便秘の可能性があります。

便秘チェックリスト

  • 排便回数が週に3回未満
  • 4回に1回以上、強くいきまないと便が出ない
  • 4回に1回以上、小さくコロコロとした便や硬い便が出る
  • 4回に1回以上、便が出てもまだ残っている感じがする
  • 4回に1回以上、便が溜まっている感じがあるが、いきんでも便が出ない
  • 4回に1回以上、用手的な排便介助(摘便・会陰部圧迫など)が必要

(慢性便秘症診療ガイドライン2017をもとに作成)

便秘の悪影響

日本人を対象としたある調査では、51.5%もの人が「自分は便秘だと思う」と回答しているほど、私たちに身近な便秘。便秘で多くの人が体感するのは腹痛やお腹の不快感、膨満感です。よくあること、と軽く考えがちですが、便秘をあなどってはいけません。便秘はお腹が痛いといった悩みだけでなく、さまざまな疾患のリスクになる可能性があることが分かっており、私たちの身体にも心にも、悪影響をもたらします。

身体への悪影響

便秘がさまざまな病気に関係するというのはなかなか考えにくいかもしれませんが、実は大きなリスクになりうることが分かっています。一説では、心不全や脳梗塞などの循環器疾患とのかかわりが大きいとされており、その理由はスムーズな排便ができず強くいきむことで血圧が上がってしまい、心臓や脳に負担がかかるためと考えられています。とくに、高齢者は注意が必要であるとされています。

また、私たちの全身の健康に関係していることが明らかにされてきており、近年注目を集めている腸内細菌。便秘は、腸内細菌のバランスに悪影響を与え、善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌を減らし、大腸菌や黄色ブドウ球菌などの悪玉菌を増やすことが報告されています。悪玉菌の増加による悪影響は腸だけにとどまらず、全身の健康へ及ぶことが明らかになっています。

身体への悪影響

心への悪影響

便秘によるお腹の痛みや不快感はストレスとなり、私たちの生活の質(QOL)を低下させる原因となります。ある研究では、軟らかく健康的な排便がある人はQOLが高いことが報告されています。軟らかい便をすっきりと出すことは、私たちが思っている以上に豊かな毎日を過ごすために大切なのかもしれません。

便秘は身体的な悩みよりも心理的な悩みに強く影響するとも言われており、「やる気がでない」「なんとなく気分が優れない」などといった精神的不調につながることが報告されています。

心への悪影響
健康長寿のためにも便秘を改善しましょう

便秘は身体にも心にも悪影響を与えますが、これらがより大きな問題へと結びつく可能性があります。約4000人を対象に実施された観察研究では、慢性的な便秘がない人の方が長生きしやすいことが報告されています。詳細なメカニズムは未だ明らかになっていませんが、循環器疾患、心不全や脳卒中などのリスクが便秘により高まることが関係していると考えられます。

「たかが便秘」と放置することなく、可能な限り対処しておくのが良いと言えるでしょう。

健康長寿のためにも便秘を改善しましょう

出典:Impact of functional gastrointestinal disorders on survival in the community. Am. J. Gastroenterol., 2010, 105(4): 822-832.

研究コラム便秘の意外な影響 ~便秘でパフォーマンスが低下する!?~

便秘の人は心身の不調により、便秘でない人よりも注意力が低下してしまったり、会社を休みがちになったりしてしまうことがあります。ある研究者がそれらの影響による経済損失を試算した結果、その額は1人あたり年間122万円にもなるという報告があります。便秘の症状が重いほど、パフォーマンスが低下することも分かっており、「便秘は体質だから」と放置していると、仕事や勉強の効率が落ち、自身の生活だけでなく社会へも悪影響をもたらしてしまうかもしれません。

便秘による経済損失

出典:Impact of chronic constipation on health-related quality of life and work productivity in Japan. J. Gastroenterol. Hepatol., 2021, 36(6): 1529-1537.

便秘の原因と解消法

便秘はさまざまな原因により引き起こされることが分かっています。生活習慣のちょっとした乱れが、便秘の原因になっているかもしれません。

  • 朝食の欠食
  • 過度なダイエット
  • 水分の摂取不足
  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • 食べるのが早い、噛む回数が少ない
便秘の原因

これらの生活習慣は、現代社会を生きる私たちにとって珍しいものではありません。便秘とは直接的に関係がないことに思える食生活や生活習慣が、実は便秘の原因になっていることがあります。忙しい毎日を過ごす中で朝食や睡眠がおろそかになったり、体重を気にするあまり極端に食事量を減らしたりしていませんか?日々の過ごし方を振り返り、生活習慣を見直すことで便秘解消につながる可能性があります。

便秘を解消するために、とくに見直したい生活習慣を3つご紹介します。毎日継続することで、便秘の悩みが軽くなるかもしれません。できることから始めてみましょう。

便意を我慢しない

排便をしたいときに我慢してしまうと便が身体の中に溜まったままになり、長く続けば腸の中で硬くなってしまいます。そうなるとスムーズな排便が難しくなり、便秘につながります。仕事や家事が忙しくてついつい便意を我慢してしまうことはありませんか?職場や学校で長時間トイレに行けない状態が続いたりすることもあるかもしれませんが、便意があるときにはできるだけトイレに座るようにしましょう。

便意を我慢しない

適度な運動をする

腹筋などの筋力の低下は腸の運動を悪くしてしまいます。そのため適度な運動で筋力を高め、すっきりとした毎日を目指しましょう。実際に、運動習慣を身につけると便秘が改善するという報告もあります。軽いウォーキングや筋力トレーニングなどから始めてみましょう。

適度な運動をする

栄養バランスを改善する

3食きちんと食事をとるとともに、その内容にも気を付けましょう。基本の栄養素である糖質・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルをバランス良くとりましょう。また、食物繊維は便秘に良いとされているため積極的にとりたい栄養素のひとつです。

栄養バランスを改善する

プルーンの便秘改善効果

プルーンは便秘に悩む方をサポートする果実として世界中で広く知られており、科学的な研究も数多く報告されています。ヨーロッパにおいては「1日100gのドライプルーンが正常な腸の機能に役立つ」というヘルスクレーム(健康強調表示)が認可されている唯一のドライフルーツです。アメリカでも、プルーンが便秘に良いということは常識とされており、医療の現場から家庭でも活用されているようです。しかし、日本ではプルーンの便秘への働きはあまり知られておらず、また日本人を対象とした研究はされていませんでした。そんな中、ミキプルーン総合研究所では世界で初めて(注1)プルーンが日本人の慢性便秘(注2)を改善することを実証しました。

  • 注1 ミキプルーン総合研究所調べ
  • 注2 便秘特有の症状(排便回数が週に3回未満、硬い便が出る)が長期間継続している状態

研究の詳細

研究の詳細

試験方法

慢性便秘に悩む日本人男女84名を対象に、プルーンエキス(注3)または対照食(注4)を8週間摂取してもらい、排便回数、便形状(注5)、自覚症状(注6)を記録してもらいました。

  • 注3 プルーン果実水抽出物
  • 注4 プルーンエキスに味や色を似せた食品
  • 注5 便形状の国際的な指標であるブリストルスケールを用いて評価
  • 注6 GSRS(胃腸症状評価スコア)を用いて評価

試験結果

プルーンは便秘を改善する

プルーンエキスを8週間摂取してもらったところ、慢性便秘症状に特徴的な硬い便形状(注7)が顕著に改善し、正常な便形状の割合が増えることが明らかとなりました(グラフ)。また、便秘や硬い便でつらいと感じる自覚症状(注8)も改善しました。

  • 注7 ブリストルスケールのタイプ1(硬くてコロコロの兎糞状の便)およびタイプ2(ソーセージ状だが硬い便)を指す
  • 注8 GSRSにおける「便秘のつらさ」「硬い便のつらさ」のことを指す
プルーンエキス摂取による便形状の変化
硬い便
正常な便
プルーンは副作用を示さない

一般的に便秘の改善目的で使用される便秘薬には、下痢やお腹の張り、肝障害や腎障害などの副作用のリスクがあることが多く、便秘治療における課題となっています。しかし、プルーンエキスにはそれらの副作用はみられず、安全に摂取できることが確認されました。

出典:Prune juice containing sorbitol, pectin, and polyphenol ameliorates subjective complaints and hard feces while normalizing stool in chronic constipation: A randomized placebo-controlled trial. Am. J. Gastroenterol., 2022, 117(10): 1714-1717.

プルーンが便秘改善に効果的な理由

ビタミンやミネラルなど、私たちの健康を支える栄養素を豊富に含むプルーン。その中でも、以下の3つの成分が便秘改善をもたらしたと考えています。

プルーンに含まれる栄養素・有用成分

水溶性食物繊維(ペクチン)

水溶性食物繊維は、水に溶ける食物繊維の総称です。中でもペクチンはプルーンに多く含まれる水溶性食物繊維で、水に溶けるとハチミツのような粘りを生じます。食物繊維は小腸でほとんど吸収されず、大腸に届けられます。大腸に届けられたペクチンはその粘性によって水分を保持するため、便が硬くなるのを防ぎます

ソルビトール

糖アルコールと呼ばれる糖の一種であるソルビトールは、小腸でほとんど吸収されない性質を持ち、大腸に届けられます。そして浸透圧効果により水分を大腸に引き込み、便を軟らかくします

ポリフェノール

5000種類以上あると言われているポリフェノールは、そのどれもが高い抗酸化作用を持ち、さまざまな健康効果が期待され、近年注目を集めています。ポリフェノールの一部は大腸に届けられ、腸内細菌のバランスを改善することが報告されています。腸内細菌の中には便秘に関係する菌が存在することが分かってきていることから、ポリフェノールは腸内細菌のバランスを整えることで便秘を改善することが期待されています。

プルーン

参考文献

  1. Internet surveyによる日本の一般生活者の便秘に関する実態調査;REACTION-J (Research for actual situation of constipation in the Japanese). 日消誌., 2019, 116: 913-926.
  2. 慢性便秘症診療ガイドライン2017
  3. 大学生の食事状況・食行動と便秘状況. 帝塚山学院大人間科研年報., 2005, 7: 91-97.
  4. Lifestyle, psychological stress, and incidence of adolescent constipation: results from the Toyama birth cohort study. BMC Public Health., 2021, 21: 47.
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