成分研究
ポリフェノールに関する研究
- プルーンには、主要なポリフェノールとしてクロロゲン酸(5-CQA)、ネオクロロゲン酸(3-CQA)、クリプトクロロゲン酸(4-CQA)の3種類のクロロゲン酸が含まれることを確認。中でも、クリプトクロロゲン酸(4-CQA)がプルーンに存在することを世界で初めて発見。
(Identification, quantitative determination, and antioxidative activities of chlorogenic acid isomers in prune (Prunus domestica L.). J. Agric. Food Chem., 2000, 48(11): 5512-5516.) - クロロゲン酸以外のポリフェノールとして、プロアントシアニジンが含まれることを確認。プルーンに含まれるプロアントシアニジンの特徴が、カテキンとエピカテキンから構成されている平均重合度5のオリゴマーであることを確認。
(Characterization and antioxidative properties of oligomeric proanthocyanidin from prunes, dried fruit of Prunus domestica L. Biosci. Biotechnol. Biochem., 2008, 72(6): 1615-1618.)
食物繊維に関する研究
- プルーンに含まれる主要な食物繊維であるペクチンの特徴を解析。プルーンに含まれるペクチンは、ガラクツロン酸が直鎖状に重合した主鎖を有しており、主鎖から分岐している中性糖(ガラクトースやラムノースなど)分岐鎖の量の違いによって大きく分けて2種類存在することを確認。また、柑橘由来のペクチンとは構造が異なり、分岐鎖の割合が多いことを確認。
(プルーン由来ペクチンの構造解析, 第57回日本応用糖質科学会大会(2008年)) - ペクチン以外の食物繊維として、アラビナンが含まれることを発見。プルーンに含まれるアラビナンは主に(1→5)結合したアラビノフラノシルユニットから構成されていることを確認。
(Simple method for refining arabinan polysaccharides by alcohol extraction of the prune, Prunus domestica L. Biosci. Biotechnol. Biochem., 2013, 77(10): 2137-2139.)
有機酸に関する研究
- 従来の測定法を改良し、プルーンに含まれる主要な有機酸であるキナ酸が過去の報告より約10倍多く含まれることを確認。
(HPLCによるプルーン(Prunus domestica L.)中のキナ酸の定量分析, 日本農芸化学会大会(2003年)) - 有機酸の改良測定法を用いて、プルーンと様々なフルーツのキナ酸を測定し比較したところ、プルーンはキナ酸が豊富なことで知られるクランベリーやキウイより含有量が多いことを確認。
(Conformational isomers of 3-O-caffeoylquinic acid isolated from prunes (Prunus domestica L.) and their antioxidant activity. ITE Letters on Batteries, New Technologies & Medicine, 2003, 4(5): 639-644.)
健康効果研究
便秘に関する研究
- 便秘症状に長期間悩む※日本人成人男女を対象としたヒト臨床研究において、プルーンエキス(54g/日)を8週間摂取すると、摂取しなかったグループに比べ、便秘特有の硬い便が減少し、正常な便が増加することを確認。
(Prune juice containing sorbitol, pectin, and polyphenol ameliorates subjective complaints and hard feces while normalizing stool in chronic constipation: A randomized placebo-controlled trial. Am. J. Gastroenterol., 2022, 117(10): 1714-1717.)
※ 便秘特有の症状が6ヶ月以上続いている状態(慢性便秘)
血圧に関する研究
- 高血圧モデルラットにプルーンエキスを含む餌を5週間投与した結果、プルーンエキスを含まない餌を投与されたグループに比べて収縮期血圧が低下することを確認。
(Effects of prune extract on blood pressure elevation in stroke-prone spontaneously hypertensive rats. Clin. Exp. Pharmacol. Physiol., 2007, 34: S47-S48.) - 血圧が高め※の日本人成人男女を対象としたヒト臨床研究において、プルーンエキス(54g/日)の12週間の摂取により、摂取前に比べて収縮期血圧が低下することを確認。
(プルーンエキス摂取が血圧に及ぼす影響の評価 -pilot study-, 第15回日本予防医学会学術総会(2017年))
※血圧が正常高値血圧(研究当時の名称、現在は高値血圧)およびⅠ度高血圧の方
正常高値血圧:収縮期血圧130~139 mmHgかつ/または拡張期血圧85~89 mmHg(現在は80~89 mmHg)
Ⅰ度高血圧 :収縮期血圧140~159 mmHgかつ/または拡張期血圧90~99 mmHg
抗酸化に関する研究
- プルーンの主要な抗酸化物質は、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸であり、プルーンが示す抗酸化活性指標(ORAC値)に対するクロロゲン酸の寄与率は30%弱であることを確認。
(Quantitative evaluation of antioxidant components in prunes (Prunus domestica L.). J. Agric. Food Chem., 2003, 51(5): 1480-1485.) - クロロゲン酸以外の抗酸化物質として、新規成分(ビピロール化合物)をはじめとする10種類の化合物を発見。
(A new bipyrrole and some phenolic constituents in prunes (Prunus domestica L.) and their oxygen radical absorbance capacity (ORAC). Biosci. Biotechnol. Biochem., 2004, 68(4): 942-944.) - クロロゲン酸以外の抗酸化物質として、ポリフェノールの一種であるプロアントシアニジンを発見。
(Characterization and antioxidative properties of oligomeric proanthocyanidin from prunes, dried fruit of Prunus domestica L. Biosci. Biotechnol. Biochem., 2008, 72(6): 1615-1618.) - プルーンに含まれるクロマノン化合物がクロロゲン酸の抗酸化作用を相乗的に高めることを確認。
(Antioxidant activity of prune (Prunus domestica L.) constituents and a new synergist. J. Agric. Food Chem., 2002, 50(13): 3708-3712.)
腸の健康に関する研究
- プルーンに含まれるペクチンが、小腸の上皮細胞に存在するタンパク質と相互作用することを確認。
(ペクチンが小腸上皮細胞の形態変化を誘導する可能性の検討, 第58回日本応用糖質科学会大会(2009年)) - 培養細胞を用いた小腸モデル実験系において、プルーンペクチンが小腸の表面に存在する細胞(上皮細胞)の増殖を促進することを確認。
(Pectin from Prunus domestica L. induces proliferation of IEC-6 cells through the alteration of cell-surface heparan sulfate on differentiated Caco-2 cells in co-culture. Glycoconj. J., 2015, 32(3-4): 153-159.) - マウスにプルーンペクチンを含む餌を2週間摂取させた結果、小腸の絨毛が伸長することと小腸中の免疫物質(IgA)の増加を確認。
(プルーンペクチンによる免疫活性化機構の解析, 第66回日本応用糖質科学会中部支部総会・講演会(2018年))
その他の研究
抗菌性に関する研究
- プルーンが、黄色ブドウ球菌やセレウス菌などの食中毒を起こす細菌に対して抗菌作用を示すことを確認。
(プルーン抽出物の抗菌性評価, 第24回日本食品微生物学会学術総会(2003年)) - 米飯へプルーンエキスを5%混合すると、黄色ブドウ球菌、セレウス菌などの増殖を抑制することを確認。
(米飯へのプルーンエキス添加による食中毒菌増殖抑制効果, 日本調理科学会大会(2004年))