眉は、ほんの少し形が変わるだけで、顔全体の印象を大きく左右するパーツ。
毎日のメイクで丁寧に整えている方も多いでしょう。
それなのに……「最近、眉が薄くなって描きにくい」
そんな変化を感じていませんか?
実は眉は、思っている以上に「生えにくく、育ちにくいもの」なのです。
髪の毛は1日に約0.3〜0.4mm伸びます。一方で、眉毛やまつ毛は1日に約0.15mmと髪の毛の半分ほどのスピードでゆっくりと成長します。さらに、毛には伸びる時期だけでなく、成長を止めて休んでいる時期「休止期」があります。その割合を見ると、髪の毛が5〜15%なのに対し、眉毛は約90%。つまり、眉毛のほとんどは休んでいる状態。長く伸びる必要がないので、一定の長さで安定して存在している休止期が長いのです。そのため、剃ったり抜いたりすると、完全に回復するまで4〜6カ月かかると言われています。

美しい眉毛を支える栄養素
そして、もう一つ見逃せないのが身体の内側との関係です。眉毛も髪の毛や肌と同じく、身体の中でつくられ、血流によって運ばれる栄養素を使って育ちます。主な材料となるのはたんぱく質。加えて、亜鉛やビタミンAといった栄養素が欠かせません。これらが不足すると、毛が細くなったり、ハリを失ったりする可能性が報告されています。

忙しさから食事を簡単に済ませる日が続くと、身体はまず生命維持を優先します。その結果、眉毛や髪の毛のような末端には栄養が届きにくくなることも。「最近、眉毛にコシがなくなった気がする……」そんな変化は、身体からの小さなサインかもしれません。
健やかな眉毛を育てるために意識したいのは、魚や肉、大豆製品などの主菜でしっかりたんぱく質をとり、副菜に野菜や海藻、きのこなどを組み合わせたバランスの良い食事。内側から身体を整えると、見た目の印象にも確実に影響します。描く前の「土台」に目を向けることが、表情全体の印象を底上げするためにも大切です。
~より詳しく知りたい方へ~
毛はずっと同じ毛があるわけではなく、生える→弱る→休む→抜ける→また生えるというサイクルをくり返しています。

成長期(生えるとき)
毛の根っこが活動をはじめて、新しい眉毛が皮膚の中から顔を出し、少しずつ伸び続けます。眉毛はこの期間が髪の毛と比べてとても短いため、一定の長さから変わらないように見えるのです。
退行期(弱るとき)
伸びるのをやめて、毛の根っこがだんだん縮んでいく時期。「そろそろ交代の時間かな……」という段階です。
休止期(休むとき)
毛はほぼ伸びず、次の毛が生えてくるのを静かに待っています。この間、見た目はあまり変わりません。
抜ける → 次の毛へ
休止期の終わりごろ、古い毛が自然に抜け落ちます。
その下では、もう次の毛が待機しています。そしてまた成長期へ……というように、このサイクルを一生くり返しているのです。
【参考文献】
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総合診療 2024; 34: 88-91
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標準皮膚科学(医学書院)
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化粧品・外用薬研究者のための皮膚科学(文光堂)
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ぜんぶわかる人体解剖図(成美堂出版)
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Journal of Drugs in Dermatology 2014; 13: s12-16
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Dermatologic Therapy 2023; 13: 1243-1253
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Dermatologic Surgery 2010; 36: 1361-1371
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Journal of Cosmetic Dermatology 2020; 19: 1404-1408