「便秘」とひとことで言っても……
Aさん:「私、この前の旅行で便秘になっちゃった。 3日間全く出なくて、帰ってきたら、どっさり(笑)。やっぱり旅先だと便秘になるね。」
Bさん:「え、3日ぐらい普通じゃない? 私なんて、最近はお腹が張って苦しいなと思いながら、しばらく便秘気味…… 。週に2回くらい出ればいいほうよ。」
Cさん:「私、その便秘っぽい状態がずっと続いてるの。多分3カ月くらい続いているかも……。」
3人が悩んでいる「便秘」……実はレベルが全く異なっていることにお気付きでしょうか?
「便秘」には定義があった!
普段の会話では「便秘」とひとくくりに表現しているかもしれませんが、医療の現場ではレベルに応じて「便秘」「便秘症」「慢性便秘症」と使い分けています。
◆ 便秘(べんぴ)
「最近便が出ていないな~」「便を出すのがつらいな〜」と感じる状態のこと。
例えば旅行中や、緊張したときなどになります。
◆ 便秘症(べんぴしょう)
便秘によって、仕事・学校などの日常生活に支障が出たり、お腹の不快感・食欲不振など身体にも不具合が起きたり、加えてつらさも感じるようになって、検査や治療が必要になってくる病気のこと。
◆ 慢性便秘症(まんせいべんぴしょう)
便秘症が長引くこと。
6カ月以上前から症状があって、直近の3カ月間もずっと続いている場合、「慢性」とする目安があります。
実際には、その人のつらさや様子を見ながら慢性便秘症かそうでないかは医師が判断します。
便秘が続いて便が腸の中に長くとどまると、腸内環境を悪化させ、有害物質を体内にため込んでしまいます。その結果、お腹の不快感や痛みが出たり、仕事の生産性が下がったりすることもあると言われています。また、さらに長く続くと、心臓や脳の血管系の病気のリスクを高めてしまうことが分かっています。だからこそ、「たかが便秘」とあなどらないことが大切です。
“ちょっと出にくいかも”という初期段階にこそ、しっかり対応を!
身体のサインを見逃さず、深刻な状態になる前に「出す力」を高めて、すっきり元気な毎日をめざしましょう!
【参考資料】
・ JGH Open. 2024; 8: e70042
・ Atherosclerosis 2016; 246: 251–256
・ Atherosclerosis 2019; 281: 114–120
・ 『便通異常症診療ガイドライン 2023ー慢性便秘症』(日本消化管学会)